下部消化管内視鏡(大腸カメラ)は、大腸と小腸の一部を直接観察し、病気の早期発見や予防に役立つ検査です。内視鏡検査で分かる病気や防げる病気について詳しくご紹介します。 大腸ポリープ概要大腸ポリープは、大腸の内側にできる小さな隆起や突起物のことを指します。ほとんどの大腸ポリープは良性ですが、放置すると一部はがん化する可能性があります。定期的な内視鏡検査によって早期に発見し、適切に対処することが重要です。症状多くの場合、大腸ポリープに症状はありません。そのため、症状が現れたときにはすでに進行している可能性があります。まれですが大腸ポリープが大きくなると、以下のような症状を引き起こすことがあります。血便腹痛下痢や便秘の変化大腸ポリープの種類大腸ポリープは大きく分けて2つの種類あり、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。腫瘍性ポリープとは大腸がんへ進展する可能性がある腺腫性ポリープ、または大腸がんが含まれるポリープのことをいいます。非腫瘍性ポリープは炎症などの影響で粘膜が隆起するタイプのポリープで原則的に大腸がんに進化することはありません。しかしサイズによっては出血などの原因になり切除が必要な場合があります。①腫瘍性ポリープ腺腫性ポリープ組織学的に腺腫(せんしゅ)をメインとするポリープを腺腫性ポリープと呼びます。大腸がんはこの腺腫性ポリープから発生することが多く、腺腫の組織の中に部分的にがん組織を含むポリープもこの範疇に入ります。大腸ポリープの半数以上はこの腺腫性ポリープと言われており、また腺腫性ポリープが一つでも見つかった方の内、30-50%には別の腺腫性ポリープが見つかると言われております。この腺腫性ポリープはサイズによりがんを含む割合が異なりますが、サイズの小さいポリープ(10mm以下)は良性である場合がほとんどです。基本的に将来的に大腸がんに進展する可能性があるため、予防する目的で切除の対象になっています。無茎性鋸歯状腺腫無茎性鋸歯状腺腫 (通称:SSA/P)は特に右側の大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸)で発見されます。かつてはがんとの関連がないと思われていましたが、現在は大腸がん発生との関連が報告されています。その表面が鋸歯状(きょしじょう)になっていることが特徴であり、外観上はしばしば平坦で表面が滑らかです。その形から時に発見が難しいです。がんとの関連があるため、基本的に切除の対象となります。②非腫瘍性ポリープ・炎症性ポリープ大腸粘膜の腺管・上皮の過形成からなる隆起です。直腸からS状結腸など肛門に近い大腸にみられることが多く、多発する傾向があります。基本的には切除の不要なポリープですが、サイズが大きい場合や腺腫と判別が難しい場合は切除することもあります。・過誤腫性ポリープ過誤腫性ポリープは頻度が多くないですが、切除の対象となるポリープです。いくつかのタイプが存在し、若年性ポリープ、Peutz-Jeghers (ポイツ・ジェガース)型ポリープ、Cronkhite-Canada(クローンカイトカナダ)症候群のポリープなどに分類されます。この中で特に若年性ポリープは頻度が多く、幼少期に発見されることが多いため若年性ポリープと命名されております。若年性ポリープの1/3は成人期に発見されると言われております。形状はキノコなどのように茎がある(有茎性)のポリープになり、サイズが大きい場合は出血の原因になることがあります。直腸からS状結腸などに好発します。大腸ポリープのサイズによる担がん率の違い腺腫性ポリープは、そのサイズによりがんの組織成分を含むかどうかに影響します。ポリープが大きくなるにつれて、がん組織を含む割合が上昇します。(その割合は以下とされています)5mm以下 約0.4%6-10 mm 約3%10mm 以上 約30%この割合については様々な報告がありますが、国により大きな幅があります。これは日本では日本の病理医はより早期の粘膜表面のみのがんである粘膜内がんを積極的に診断しますが、欧米の病理医はより深い進行したがん組織を大腸がんと診断するためです。日本での早期大腸がん(粘膜内がん)は欧米ではHigh GradeDysplasia(高度異型)と一部が呼ばれます。しかし、サイズが大きくなるにつれてがんの割合が上昇することは多くの文献で一致しています。大腸ポリープの原因大腸ポリープの原因は明確には分かっていませんが、いくつかのリスク要因が考えられています。これには以下が含まれます。年齢(40歳以上でリスク増加)家族歴(ポリープや大腸がんの家族歴)高脂肪、低食物繊維の食事喫煙や飲酒肥満や運動不足大腸ポリープの治療法大腸ポリープの治療は、基本的に内視鏡で行われます。ポリープが見つかった場合、その場でほとんどが切除可能です。特に大きなポリープや疑わしいポリープは、生体検査のために切除され、病理医によってがんの有無が調べられます。切除が困難な場合や合併症のリスクがある場合は、外科手術が検討されます。早期発見と適切な治療によって、大腸がんの予防につながりますので、定期的な検査を心掛けることが推奨されます。 大腸がん概要結腸・直腸の粘膜(腸内側の表面)にある細胞が異常増殖=癌化した状態です。癌の部位別死亡率で、女性において1位と最多です。ステージや「早期がん」「進行がん」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。粘膜に生じた癌が、深い層へと染み入るように進行し≒浸潤)、筋層まで到達すると「進行がん」になります。進行がんになるとリンパや血液の流れにのって他の臓器や離れたリンパ節に転移を起こします。大腸がんは、一般的には検診(便潜血の陽性反応)を契機にして精密検査を行い、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うことで診断が確定します。人間ドックなどで測定する腫瘍マーカーは、進行がんでも半数程度にしか上昇は認められず、大腸がんの早期発見にはつながらないことが分かっています。便検査でも報告に差はありますが、60-80%程度しか癌が発見できない可能性が報告されています。症状大腸がんは初期には自覚症状がほとんど現れないことが一般的です。そのため、早期で発見するには便検査や内視鏡検査を受けることが重要になります。しかし、進行すると以下のような症状が現れることがあります。①血便や排便時の出血癌の表面に露出する血管(動脈や静脈)から出血をきたします。出血量が多い場合は血便(赤い便)が出ることもありますが、出血量や癌の場所によっては赤黒い場合もあります。出血続いた結果、貧血になって息切れや動悸などの症状が出現することもあります。② 腹部の痛みや不快感おなかの痛みが出ることあります。疲労感や一時的な軽い痛みのこともありますが、痛みの程度が重くなり、持続するようになると胃がんの進行の影響の可能性があります。③便秘や下痢などの排便習慣の変化がんによって腸が狭くなることがあります。狭くなることで便秘になったり、柔らかい便や水分だけが狭くなったところを通過し、下痢や柔らかい便だけが排泄されることがあります。これらの症状は大腸がんのサイズが増大することで生じる症状です。④体重減少や疲労感心大腸がんが進行することで体重が減少することがあります。これは大腸がんによる必要エネルギーが増加することよりも、必要な栄養(カロリー)が摂取できなくなることに起因します。腹痛や吐き気、早期に満腹感を感じることで、食事の摂取量が低下し、体重が減少していきます。原因大腸がんには下記のリスクが存在します。①遺伝的要因(家族歴)大腸癌には遺伝するものがあり、遺伝性大腸癌と呼んでいます。その中で多い家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis:FAP)は、40歳代で約50%、60歳代ではほぼ100%大腸癌を発症します。常染色体優性遺伝で中年までに発生するため、近親者で60歳までに大腸がんを発症したひとが3人以上いる場合、大腸内視鏡検査を受けることが必須です(FAPの原因はがん抑制遺伝子APCの変異です。日本人では約1万と稀な疾患)② 食生活(加工肉・高脂肪・低繊維食)赤身肉・加工肉は日本人の摂取量は63g/日(赤身は50g、加工は13g)です。女性では毎日80g以上の赤身と加工肉を食べると少しリスクが上がり、男性では大量の肉を摂取した場合のみリスクがあがるとされています。日本人が普通に食べる肉の量では大腸癌のリスクにはなりませんが、肉中心の食生活の自覚がある方は内視鏡検査をお勧めします。また高脂質食による高脂血症(特に中性脂肪)はポリープの発生につながるとされています。3個以上のポリープができる確率は中性脂肪が125mg/dL以上の場合、68mg/dL未満の人に比べると約2倍とされており、その結果大腸がんのリスクが高まります。③肥満痩せている人に比べて肥満の男性は、2.0倍結腸癌に、1.4倍直腸癌になりやすく、女性は、1.3倍結腸癌に、1.3倍直腸癌になりやすいことが分かっています。④アルコールやタバコの摂取飲酒については1日60g以上のアルコールを摂取した場合に約1.6倍にリスクが上がるとされています。また喫煙も様々な癌でリスクとなりますが、大腸癌でも1.18倍にリスクが上がるとされています。⑤炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)は「炎症性腸疾患(IBD)」と呼ばれる腸の病気です。これらの病気により長期間にわたって腸に炎症が続くことがあります。その結果、大腸がんのリスクが高まることが知られています。特に病気の罹患期間が長い(一般的に8年以上)、大腸全体に炎症がある(全大腸炎型)、活動性の炎症が長く続いている、家族に大腸がんの人がいる方などは特にリスクが高まります。治療法大腸がんの治療は進行度合い≒ステージによって異なります。早期癌の場合は体に傷が付かない内視鏡で治療が可能です。反対にステージが進むと手術が必要になったり、抗がん剤が必要になったりする場合もあります。定期的な便検査・内視鏡検査を受けて早期発見することが重要です。炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)潰瘍性大腸炎原因不明の大腸の慢性炎症性の病気です。大腸の粘膜を中心にびらんや潰瘍などを形成し、血便や下痢、腹痛やしぶり腹、発熱や体重減少などの症状が出現します。潰瘍性大腸炎は、厚生労働省が指定している「難病」と言われる病気のひとつです。潰瘍性大腸炎は比較的若い人が発症し、30歳代にピークがありますが、どの年齢層でも発症します。最近では高齢になってから発症するケースも増えてきました。また1975年965人、1990年には2万人だった患者数は、2022年には約14万人まで増加しており、今後も増えると予想されています。潰瘍性大腸炎の原因は完全には解明されていませんが、免疫システムの異常が関与していると考えられています。自己免疫反応が大腸の粘膜を攻撃し、炎症と潰瘍を引き起こします。また、遺伝的要因、環境要因、食生活、感染症などが複雑に絡み合っている可能性も指摘されています。 クローン病Crohn(クローン)病も原因不明の腸管の炎症性疾患です。全身のあらゆる消化管に、浮腫や潰瘍を形成することにより症状を引き起こします。症状としては、腹痛と下痢が最も高頻度に見られます(70-80%)。そのほかには発熱や栄養障害や血便・貧血、関節炎、痔ろうなどです。このクローン病も「難病」に指定されています。前述の潰瘍性大腸炎も含めて、炎症性腸疾患:IBD(inflammatory bowel disease)と呼ばれます。この両者のいずれか確定できないIBD-U(unclassified)も3-8%程度存在します。またクローン病は若年者に圧倒的に多いのが特徴です。男性では20歳代、女性では10歳代に発病のピークがあります。原因は、根本的には不明ですが、潰瘍性大腸炎と同様に遺伝的素因を背景にして、さまざまな環境因子が作用し腸粘膜の免疫調整機構が障害されて炎症を生じると考えられています。検査潰瘍性大腸炎やクローン病は内視鏡検査で診断可能です。血液検査・CT検査も併用する場合が多いです。炎症の程度・範囲によって治療方針が異なる場合が多く、内視鏡が必須の検査ともいえます。内視鏡で観察するのみでなく、便の採取、細胞の採取が可能であり、得られる情報は非常に多いです。また罹患年数が長くなると大腸がんのリスクにもなるため、病状把握やがんの早期発見目的の定期的な内視鏡が望ましいです。過敏性腸症候群概要過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome, IBS)は、腸の機能障害によって引き起こされる病気で、腹痛や便通の異常が慢性的に続く状態のことを指します。この疾患は、便秘型、下痢型、またはそれらが交互に現れる交代型に分類されます。通常の検査で腸の器質的異常が見つからないにもかかわらず、これらの症状が続くのが特徴です。腹痛や便通異常は続く場合はIBSの場合もありますが、まずは器質的な病気がないかを内視鏡検査や血液検査・CT検査などで調べることが必須です。過敏性腸症候群は若年者に多く、年齢を重ねると有病率が低下します。過敏性腸症候群はごくありふれた病気であり、日本人の6-7人に1人はIBSだとも言われています。心理社会的ストレスによって発症する、もしくは悪化すると言われますが、そういった環境因子だけでなく、遺伝的な素因もかかわっていることがわかっています。その他に感染性腸炎を契機に、過敏性腸症候群を発症することがあることも知られています。検査・治療血液検査、腹部CT検査、内視鏡検査で器質的な病気がないことを確認します。治療は偏食や夜食習慣、飲酒、喫煙、睡眠不足、心理社会的ストレスなどで取り除けるものを取り除くことから始めます。薬剤も使用することが多く、便の性状を変化させ便回数を整える薬、腸管の動き(=蠕動)を整える薬、腸管の神経に作用して痛みの伝達を抑える薬などがあります。お困りの症状や便の状態によって薬を選択します。大腸メラノーシス概要大腸メラノーシス(Melanosis Coli)は、大腸粘膜に黒褐色の色素沈着が生じる良性の病変です。主にアントラキノン系下剤(センナ、ダイオウなど)を長期間使用した人に見られます。これらの下剤は大腸の粘膜上皮細胞に軽度の細胞死を引き起こし、マクロファージによって処理されたリポフスチンと呼ばれる色素が蓄積することで、黒ずんだ色調が腸管全体に広がります。特に盲腸から下行結腸にかけて強く、内視鏡検査で粘膜が黒っぽく変色しているのが特徴的です。この変化は腫瘍性病変や炎症性疾患とは無関係であり、健康への直接的な害はありません。また、下剤の中止により数か月から1年で自然に改善することもあります。しかし、大腸メラノーシスが認められた場合、長期の下剤依存や乱用のサインとされることが多く、患者には排便習慣や生活習慣の見直しを促すよい機会になります。また、色素沈着があるときでも、ポリープや早期がんの視認性には大きな支障はないとされますが、やや目立ちにくくなる場合もあります(目立つ場合もあります)。したがって、検査を受ける側も適切な薬剤の使用について医師と相談することが望まれます。大腸メラノーシスの原因となる代表的薬剤大腸メラノーシスの主な原因は、アントラキノン系下剤の長期使用です。これらの下剤は腸管の蠕動を促進する刺激性下剤に分類され、特にセンナ(センノシド)、ダイオウ(大黄)、アロエなどが代表的です。これらの成分は、大腸の粘膜上皮細胞に軽度のアポトーシス(細胞死)を引き起こします。死んだ細胞の残骸はマクロファージに貪食され、その中にリポフスチンという色素が蓄積し、粘膜が黒褐色に着色されるのです。日本国内で市販されている便秘薬や漢方薬の中にもアントラキノン系成分を含む製剤が多く存在します。たとえば、「プルゼニド」や「アローゼン」といった処方薬のほか、「コーラック」「スルーラック」など市販の便秘薬も該当します。また、漢方薬では大黄甘草湯、麻子仁丸、防風通聖散などが知られています。これらの薬剤は即効性があり、一時的な使用では問題にならないことがほとんどですが、習慣的に長期使用するとメラノーシスの原因となる可能性が高くなります。したがって、慢性的な便秘に対しては生活習慣の改善や非刺激性下剤(酸化マグネシウムなど)の併用が推奨され、アントラキノン系薬剤は必要最小限の使用にとどめることが大切です。検査・治療下部消化管内視鏡(大腸カメラ)で診断は容易ですが、治療の必要性はありません。常用している便秘薬(刺激性下剤)から非刺激性下剤への切り替えが強く推奨されます。虚血性腸炎*概要虚血性腸炎(ischemic colitis)は、大腸の血流が一時的に低下することによって、腸粘膜にびらんや潰瘍が生じる疾患です。特に左側結腸(下行結腸やS状結腸)に好発し、中高年の女性に多くみられます。血流低下の原因としては、動脈硬化や血圧低下、脱水、便秘による腸管内圧の上昇、心疾患、あるいは血栓形成などが関与しますが、多くは明確な原因が特定されない「一過性型」が中心です。症状としては、突然の左下腹部痛、下痢、血便が典型的で、発症は急激です。腹痛は排便後に軽減することが多く、発熱や白血球増多を伴うこともあります。診断には大腸カメラが有用で、浮腫状で発赤した粘膜、びらん、縦走する潰瘍などの所見が確認されます。重症例では狭窄や穿孔を来すこともありますが、ほとんどの症例は保存的治療(安静、水分補給、抗菌薬)で軽快します。再発はまれですが、高齢者や基礎疾患を持つ場合は重症化するリスクがあり、早期の診断と適切な対処が求められます。虚血性腸炎を疑う症状がある場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。検査・治療まず腹部症状と血便のエピソードから本疾患が疑われます。診断の確定には下部消化管内視鏡(大腸カメラ)が有用で、発赤・浮腫状の粘膜やびらん、縦走潰瘍、虫食い状潰瘍などの特徴的所見が観察されます。病変は主に左側結腸(特にS状結腸)に限局します。内視鏡検査中に生検を行い、感染性腸炎や炎症性腸疾患との鑑別も行います。また、腹部CT検査も補助診断に用いられ、腸管壁の肥厚や周囲脂肪織の濃度上昇、場合によっては腸管内ガス像(気腫)を確認できます。血液検査では白血球増多やCRP上昇を伴うことがあります。治療の基本は保存的療法で、絶食・点滴による補液・安静が中心です。軽症例では自然軽快することも多く、入院不要な場合もあります。中等症以上や発熱・全身症状を伴う場合には抗菌薬投与を行うこともあります。まれに、重症例では腸管の狭窄や穿孔を伴い外科的治療が必要になることがあります。再発は少ないものの、便秘や脱水などのリスク因子への対応も重要です。高齢者では特に慎重な経過観察が求められます。感染性大腸炎概要感染性大腸炎は、細菌・ウイルス・寄生虫などの病原体が大腸に感染し、炎症を引き起こす疾患です。原因は多岐にわたり、カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(O157など)、赤痢菌、ノロウイルス、アメーバ赤痢などが代表的です。多くは経口感染で、汚染された飲食物や接触感染により発症します。主な症状は下痢、腹痛、発熱、悪心、血便などで、特に細菌性の場合は粘血便や激しい腹痛を伴うことが多く、ウイルス性では水様便が主体です。潜伏期間や症状の経過は病原体によって異なります。診断には、便培養や便PCR、便抗原検査などが行われ、原因微生物の特定が重要です。検査・治療重症例では下部消化管内視鏡(大腸カメラ)を行い、粘膜のびらんや潰瘍、偽膜形成などの所見が確認されることもあります。治療は、軽症例では対症療法(整腸剤、水分補給)で十分なことが多く、重症例や特定の細菌(赤痢菌やアメーバなど)では抗菌薬を使用します。ただし、腸管出血性大腸菌(O157など)に抗菌薬を用いると溶血性尿毒症症候群(HUS)のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。予防には手洗いや食品の加熱処理が有効で、集団感染防止の観点からも早期の診断と隔離対応が重要です。