大腸ポリープが見つかった際、医師によっては5mm以下の大きさであれば切除しませんと、と判断する方もいます。実際はどうすべきなんでしょうか?結論から申し上げますと、日本の「大腸ポリープ診療ガイドライン2020(日本消化器病学会)」では、「5mm以下の小さなポリープ(微小腺腫)であっても、原則として切除が推奨される」と見解が記載されています。ただし、現場の判断では「経過観察」になるケースもあり、このガイドラインでは経過観察も許容されるとされています。一概には切除すべきとはされておりませんが、やはり切除して欲しいと思うと思います。実際にはどうすべきなのでしょうか?ガイドラインの基本的な考え方欧米のガイドラインでは、「クリーンコロン(大腸内をポリープがない状態にすること→クリーンなコロン(大腸))」の状態が、将来の大腸がん予防に直結すると考えられています。腺腫(せんしゅ)は大腸がんの卵5mm以下の小さなものであっても、それが「腺腫」であれば、時間をかけて大きく育ち、将来的にがん化するリスクがあります。切除の推奨そのため、発見した際にその場で切除してしまう「ポリペクトミー」が一般的に推奨されています。そして5mm以下の大腸ポリープ切除の安全性は極めて高いです。なぜ「5mm以下は取らなくていい」という説があるのか?一方で、医師から「小さいから今回は様子を見ましょう」と言われることもあります。これには以下の理由が挙げられます。がんである確率が極めて低い5mm以下の腺腫が、発見された時点で既に「がん」である確率は 1%以下 と非常に低いです。ただし、がんでなくても大腸がんになるリスクは0%ではありません。成長スピードが緩やか多くの微小ポリープは成長が遅いため、1〜2年後の再検査で切除しても遅くないと判断されることがあります。非腫瘍性ポリープの可能性そもそも「腺腫(がんの芽)」ではなく、がん化の心配がない「過形成ポリープ」であると内視鏡診断(NBI等)で判断された場合は、切除の必要がありません。内視鏡の切除も100%安全ではない全ての医療行為にもリスクがあり、小さい大腸ポリープを切除するにもリスクがあります。出血や穿孔(大腸に穴があく)などが挙げられますが、合併症の発生リスクは小さいサイズの場合は極めて稀です。切除するかどうかの判断基準最近の医療現場では、内視鏡の精度が上がっているため、以下のように使い分けられています。ポリープの種類対応の目安5mm以下の腺腫原則切除。 ただし、数が多い場合や患者さんの体調(抗凝固薬の服用など)を考慮し、経過観察することもある。高齢な患者さんなども切除しない選択肢も考慮される。6mm以上の腺腫強く切除を推奨。 がん化のリスクが目に見えて高まってくるため。過形成性ポリープ経過観察。 特に肛門に近い直腸やS状結腸にある5mm以下のものは、がん化のリスクがほぼないため切除不要。なぜ5mmは切除しない?という説が出てきたのか?以前日本の著名な内視鏡の医師が5mm以下でも、大腸がんに進化する可能性が高い陥凹型のポリープを提唱しました。その過程でそのリスクが高くない5mm以下のポリープは後ほど切除しても問題ないとの観察研究が報告されました。その説が広がるにつれて、逆説的な解釈ですが5mm以下の大腸ポリープは切除しなくても大丈夫、という理解に変わり広がった説が有力です。つまり5mm以下の大腸ポリープが切除しなくても問題ない、という有力な研究があるわけでは現状ない状況です。実際はどうするか?当院の対応について当院は基本的に5mm以下であっても大腸ポリープは腺腫の可能性があれば切除しています。その背景の考えを説明いたします。まず5mm以下の大腸ポリープの切除はほぼリスクがゼロに近く、安全性も近年極めて高くなっています。基本的に安全な処置と言っても問題ありません。また例え5mmくらいの大腸ポリープであっても経過観察が必要で、1~3年後にサイズの変化があるか改めて大腸内視鏡が必要です。そもそもその経過観察を忘れてしまう人が一定数いるリスクがあります。また切除してしまえば、例え経過観察を忘れてしまっても切除が完了しているため、ポリープが残存している心配は低くなります。また「大腸がんになる可能性があるポリープがありますが、サイズの観点からまだ切除していません。来年以降サイズ変化を見ましょう」と言われて納得できる人は少ないと思います。そのため当院では安全性が高いのであれば、切除することを推奨する立場をとっています。(5mmであれば1分で切除できます)